「本多記念館」は、本研究所の創設者で、東北帝国大学第6代総長でもあった本多光太郎博士の本学在職25周年を記念し組織された記念会が総工費47万円をもって建設しました。昭和14年10月に起工し、同16年10月に落成した鉄筋コンクリート造3階建て、延べ面積2,217㎡の研究棟です。以来、半世紀にわたり、本研究所の表玄関としてその偉容を誇ってきました。創立50周年の際には本多記念室が整備されました。
その後、星霜を経て随所に傷みが見られるようになったことから、本研究所創立75周年記念事業の一環として、平成6年5月から同年10月にかけて壁面の補強や内装などの改修整備工事が実施されました。工事にあたっては、出来るだけ建物の外観を変えないように、玄関ホールや階段周辺の大理石を保存するなどの配慮がなされました。改装後の本多記念館には、所長室、事務部、視聴覚室などが配置され、そのほかに、新たに本研究所の共同研究員等のための宿泊施設(5室、7人収容可能)や、外部の方々の技術的な相談に対応するための技術相談室が設けられました。創立50周年の際には本多記念室の整備とあわせ、資料展示室が新設されました。
2016年の創立100周年には、本多記念室と資料展示室をリニューアルし、より多くの市民の方に本所の歴史や研究成果をご覧いただけるよう一般公開しています。本多記念室には本多博士が生前に使用された机や実験ノートなど、博士をしのぶ遺品の数々が展示されています。資料展示室にはKS磁石鋼をはじめ、本研究所が研究開発し、その指導により企業化された各種の新素材やその製品などを展示しています。
2021年10月には本多記念館が登録有形文化財(建造物)に登録され、県内外から多くの見学者が訪れています。