発表のポイント
- 発電と蓄電を一体化した「光蓄電池」において、従来の課題である電荷再結合を抑制して約1 Vの光電圧を実現しました。
- 電極の層構造化により電荷の輸送経路を制御することで、光エネルギー変換の熱損失を低減できることを明らかにしました。
- 外部電源を必要としない小型IoTデバイスや自律型センサーの電源実現に向けた、光蓄電池の基礎的な設計指針を確立しました。
概要
持続可能社会の実現に向けて、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄える一体型デバイスである「光蓄電池」の開発が期待されています。従来の研究では、光吸収材料と蓄電材料を物理的に混合した電極(混合型)が広く用いられていましたが、電極内部の電荷再結合により熱損失が生じ、発生する光電圧が顕著に制限されるという課題がありました。
東北大学学際科学フロンティア研究所(金属材料研究所兼務)の下川航平助教、金属材料研究所市坪哲教授らの研究グループは、英国ケンブリッジ大学との国際共同研究により、光蓄電池の電極構造に着目した設計アプローチを検証しました。具体的には、水系亜鉛電池を対象にして、光吸収を担う層や蓄電を担う層などを分離して重ね合わせた積層型の光電極を構築しました。これにより、電荷の輸送経路を制御して熱損失を抑制し、疑似太陽光の照射下において約1 Vの高い光電圧が得られることを実証しました。提案した基本構造は、今後の開発が期待される自律型の小型電源等の設計指針になると期待されます。
本成果は、2026年10月13日(日本時間)に米国学術誌Nano Lettersにオンライン掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 490KB]
- Nano Letters [DOI: 10.1021/acs.nanolett.6c02373]

