

未来に役立つものをつくるための「材料(マテリアル)」を研究している金属材料研究所。
きんけん一般公開とは、小・中・高校生の皆さんに、金属材料研究所、すなわち“きんけん”の世界最先端の材料研究を体験してもらうための「科学のお祭り」です。 2年に1回行われている「片平まつり」の一環で、1998年から12回目の開催になります。
今回は新型コロナウイルスの影響でYouTubeでのオンライン開催となりました。
15:00 オープニング
出演者: | 粟津ちひろアナウンサー 2011年に東北放送アナウンサーとして入社。 tbcテレビ「地元スポーツ応援団スポッち!」「サタデーウォッチン!」「Nスタみやぎ」 tbcラジオ「ロジャー大葉のラジオな気分」「ランチボックスL」「歌のない歌謡曲」など、 報道・情報・スポーツバラエティと幅広いジャンルの番組を担当。 2020年に退社し、現在はtbcアナウンス学院の講師やナレーションをメインに活動中。 小野瀬佳文 教授(量子機能物性学研究部門) きんけんちゃん 105歳。モットー:規則正しく美しく |
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粟津ちひろアナウンサー

小野瀬佳文 教授

きんけんちゃん
15:05 研究室をのぞいてみよう!
太陽電池ってシリコンの結晶から作られている?!
シリコン結晶の成長を研究しているようすをみてみよう!
出演者: | 藤原航三 教授(結晶物理学研究部門) 森戸春彦 准教授(結晶物理学研究部門) |
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協力者: | 前田健作 助教(結晶物理学研究部門) 荘履中 助教(結晶物理学研究部門) |

藤原航三 教授

森戸春彦 准教授

15:20 金研ってどんなところ?
古原所長が金研を紹介します!本多記念室と資料展示室も見られるよ!
コロナが明けたら、ぜひ見学に来てね!
出演者: | 古原忠 所長(金属組織制御学研究部門) |
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協力者: | 小山元道 准教授(耐環境材料学研究部門) |

古原忠 所長

小山元道 准教授

15:30 磁石のチカラ
みんなの身近にある磁石。なんとあのお菓子も磁気で浮いちゃう?
強力な磁場を発生させる巨大マグネットを使って実験します!
出演者: | 梅津理恵 教授(新素材共同研究開発センター) 淡路智 教授(強磁場超伝導材料研究センター) |
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協力者: | 高橋弘紀 助教(強磁場超伝導材料研究センター) |

梅津理恵 教授

淡路智 教授

高橋弘紀 助教

15:45 質問コーナー
みんなから届いた質問にきんけんの研究者がお答えします!
出演者: | 梅津理恵 教授(新素材共同研究開発センター) 髙木成幸 准教授(水素機能材料工学研究部門) 金相侖 助教(水素機能材料工学研究部門) 澤田祐也 学術研究員(強磁場超伝導材料研究センター) |
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梅津理恵 教授

髙木成幸 准教授

金相侖 助教

澤田祐也 学術研究員
アーカイブ公開中!




実験動画
水素機能材料工学研究部門(折茂研究室)
~水素をためるボンベのひみつ~
折茂研究室では、水素を貯めることのできる金属の研究をしています。 じっさいに、水素が金属に吸収されるようすや、ためた水素を使ってバギーを動かすところをみてみよう!
質問コーナー
みなさんから寄せられた科学に関する質問や疑問に、きんけんの研究者がお答えしました!
ライブ配信ではご紹介できなかった質問と回答も載せています。
- なぜN極とS極はくっつくのですか?
- 磁石が引き寄せられたり、反発するのは、磁場というものが働いているからです。目には見えないのですが、これはN極からS極に向かって出ています。この磁場を可視化したものが磁力線です。
N極とS極が近づくとN極からS極へ磁力線が流れ、引き寄せる力が働きます。N極とN極のように同じ極が近づくと、磁力線が互いを避けるように流れるのが分かります。これによって反発するように力が働きます。 - 窒素とか酸素とか二酸化炭素とかあるけど、なぜ水素がクリーンエネルギーとして使われているのですか?
- 世の中のものをエネルギーとして利用する場合、エネルギーとして使われた後に何が出てくるのかが重要です。水素を燃やすと、エネルギーを作りながら空気中の酸素と反応して水に変わります。ご存知のように、水は人間に役立つ存在なので、水素はとてもクリーンなエネルギーです。
一方で、窒素と酸素が反応して出てくる一酸化窒素や二酸化窒素などは大気汚染の原因となりますし、二酸化炭素は温暖化を引き起こすので、我々が抑制しなければならないものです。 - 光が反射するのがとても不思議です。反射はなぜ起こるのですか?
- 光の反射というと鏡を思い浮かべる人が多いかと思いますが、目に見えるあらゆる物質の表面で反射は起きており、私たちは物質が反射した光を見てその物質の色を認識しています。これは電子や原子がかかわる大変複雑な現象なのですが、光の反射の振る舞いについては屈折率という物質それぞれに決められた光の進み方の目安を使って理解することができます。
ライブ配信ではこの原理を利用して、ガラスのビーカーを消すマジックを披露しましたが、見て頂けましたでしょうか?まだ見てないという方は、ぜひアーカイブ配信をチェックしてみてください。 - 電池がなくなるって、どういう現象ですか?
- スマートフォンなどに使われるリチウムイオン電池を例に説明します。リチウムイオン電池では、マイナス極に炭素、プラス極にコバルト酸リチウムという物質が使われていて、マイナス極の炭素のなかにリチウムイオンがたくさん溜まっています。この電池に豆電球を繋ぐと、マイナス極の炭素がリチウムイオンと電子を放出し、放出された電子は豆電球を通ってプラス極へと流れます。この時、電子がもつエネルギーによって豆電球が光ります。マイナス極がすべてのリチウムイオンを放出してしまい、それ以上電子を放出できなくなると豆電球は消えてしまいます。つまり、電池がなくなるという現象は、それ以上電子を放出できなくなった状態、ということになります。
- 糸電話の糸の代わりに金属の線を使うとしたら、どんな金属が良く声を伝えるのでしょうか?
- 日常耳にする音は空気中を伝わりますが、糸や金属も音を伝えます。音の伝わる速さは物質が固いほど、また軽いほど速くなります。 糸電話の糸は金属に比べて非常に柔らかいため音はゆっくりと伝わり、1秒間に1キロメートル程度です。
一方で金属の場合はその数倍の速さで音が伝わります。金属の中でも固さや重さに違いがあり、鉄と鉛では鉄の方が3倍も速いです。「良く声を伝える」ということを「音を速く伝える」と考えるならば、鉄と鉛では鉄の方が優れているということになります。 - 鉄が海で腐食すると赤錆になるのに、砂鉄が黒色(Fe₃O₄)なのは何故ですか?
- 鉄が海で腐食してできた赤錆の化学式はFe₂O₃であり、Fe₃O₄の化学式で表される砂鉄とは別の物質になります。砂鉄は、マグマが冷えて固まった火成岩が風化してできたものである一方、私たちが普段目にする赤錆は、鉄が水や空気と反応することで発生します。と、簡単に言ってしまいましたが、実は環境によっては鉄の腐食でFe₃O₄が形成したり、ほかの物質が形成したりすることもあり、腐食は大変複雑な現象です。色だけでも様々あり(例えばこちら)、興味をもって錆を見つめてみると面白い発見があるかもしれません。腐食研究にも金研の歴史がありますので、こちら弊所広報誌のp7をご参照いただいても面白いかもしれません。
- お墓が金属製でないのはなぜでしょうか? 石材のお墓は風化しますし、地震で壊れたりもしました。後世に残すならステンレス製がよいと思うのですが... ステンレス以外に墓材としておすすめの金属はありますか?
- お墓の材料として必要な材料特性は、“見た目がきれい”、“腐食しにくい”、“摩耗しにくい”、“変形しにくい(自重でつぶれにくい)”といったところでしょうか。この意味で、石材というのはこれらの特性をすべて満たす素晴らしい材料と思われます。欠点は脆い、ということで、地震などで倒れたりすると割れて壊れてしまいます。ステンレスは上記4つの点を満たす上に脆くもないのでお墓に使えそうですが、数十年、100年規模で考えると、石材の方が風化しづらいと思われ(環境に依りますが)、「倒れて壊れる」ということを考えなければ石材の利用は適材適所といえます。
また、日本のお墓が石で作られる理由は、日本神話と関係があるようです(ご参照:https://www.umeki-sekizai.com/お墓のへぇ/4-なぜお墓は石なの/)。このためステンレスや陶磁器のお墓もあるようですが、まだまだ数は多くなさそうです。ステンレス以外の金属だと、金などは腐食しにくく、かつ見た目も美しいので良さそうです。例えば、ツタンカーメン王の黄金マスクが金を用いた副葬品として有名で、当時のままの美しい状態で出土しています。しかし、金は軟らかいこと、とても高価であること、の二点に問題がありますので、墓石につかうには工夫とお金が必要ですね。 - 超超ジュラルミンの他に、日本で発明開発された凄い合金というと何がありますか?
- 手前味噌ですが、まさに金研で数多くの凄い合金が開発されています。初代所長の本多光太郎先生が開発されたKS鋼は世界初の永久磁石として有名ですし、増本量先生が開発されたコエリンバー合金は、開発から70年以上経った現在でも、時計の心臓部であるひげぜんまいや、様々な精密機器に使われています。コエリンバー合金は金研の広報誌でも紹介されております。もしご興味がございましたら、こちら弊所広報誌を、ご一読ください。
- ドラえもんって何でできてるの?
- 未来の世界のネコ型ロボットなので、未知の物質でできているのかもしれませんね。金属材料研究所では、ドラえもんのように夢のある材料を開発すべく、日々研究が行なわれています。『きんけん』の今後にぜひご期待ください。