磁気物理学研究部門は独自に開発した30テスラ超強磁場中性子回折装置を用いてラウエランジュバン研究所で実験を行い、クロム(Cr)スピネルというフラストレート反磁性体が磁場中で共通の磁気構造を持つことを初めて明らかにしました。この結果は、普遍的なスピン-格子相互作用がこの現象に大きな役割を果たしていることを意味しており、今後、この機構の理解が大きく進むことが期待されます。 今回使用した装置は,東北大学と原子力機構が4 年前から原子力科学研究所内の研究炉JRR-3 において開発してきたものであり、ラウエランジュバン研究所への技術移転は、当所の国際共同研究センターの支援の元に行われ、他の海外施設への導入も進んでいます。本成果は、米国物理学会発行の英文学術雑誌「Physical Review Letters」のオンライン版で1 月26 日に公開され、また、日刊工業新聞(2010年1月25日付)でも紹介されました。
図: CrスピネルCdCr2O4のブラッグ反射強度の磁場依存性