国立大学法人 東北大学と独立行政法人 日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)古河機械金属株式会社、国立大学法人 東京大学は、「無人ヘリ搭載用散乱エネルギー認識型高位置分解能ガンマカメラ注1)」の開発に成功しました。
原子力機構は、東京電力株式会社 福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性セシウムの分布状況の広範囲にわたる迅速な把握、及び、除染の効率化のため、放射線検出器を無人ヘリに搭載して上空から測定する技術の研究開発を行ってきました。事故後に行われている放射線モニタリングでは、人間や車が立ち入ることの困難な場所については計測が難しいため、無人ヘリや有人ヘリによる上空からの放射線量測定が行われていますが、位置分解能が数十~数百mと大きく、より高位置分解能かつ高精度の線量マップ作成に関して強い要望がありました。
今回のガンマカメラの開発により、山林などを含む広範囲の放射性セシウムの分布の可視化、及び、周辺からの影響が排除された可視的かつ高精度の放射線量マップの作成が可能となり、広範囲中の除染箇所の特定や除染効果の確認作業の効率化に向けて大きく前進します。
今後、検出素子を増やすことによって感度と位置分解能の向上を実現し、現地での試験結果をフィードバックして改良していきます。さらに、計測回路の高集積化、検出素子の高精細化を図ることにより、指向性と検出効率を高め、位置分解能1m以内の高精度・高位置分解能の放射線量分布測定法の実用化を目指します。
なお、本研究開発は、平成24年度より、独立行政法人 科学技術振興機構(以下、JST)先端計測分析技術・機器開発プログラム(放射線計測領域)「無人ヘリ搭載用散乱エネルギー認識型高位置分解能ガンマカメラの実用化開発」の開発課題として行われました。
また、本研究成果は、日本原子力学会2014年秋の大会で発表する予定です。
詳細(jstホームページ):http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140905/index.html
※この成果は9月6日付の福島民報、9月8日付の電氣新聞、9月19日付の科学新聞、河北新報オンライン、朝日新聞デジタル、電氣新聞、財形新聞、マイナビニュースの各webサイトに掲載されました。