東北大学金属材料研究所の内田健一(博士後期課程3年)、齊藤英治教授らは音波を注入することによりスピン(磁気)の流れを生成できる新しい手法を発見しました。
近年、持続可能な社会に向けた環境・エネルギー問題への取り組みが活性化する中で、クリーンで信頼性の高いエネルギー源の開発や、電子デバイスの省電力化が求められています。電子が持つスピン(磁気)の自由度を積極的に利用する新しい電子技術「スピントロニクス」を用いれば、電気・磁気 デバイスの新しい駆動原理の創出や省エネルギー化が実現できると期待されており、世界的規模で盛んに研究が進められています。スピントロニクス機能の多くはスピンの流れである「スピン流」によって駆動されますが、スピン流の生成手法は非常に限定されているのが現状でした。
今回、内田らは、音波を注入するだけでスピン流を生成できる新しい手法を発見しました。この方法を用いれば、従来はデバイスの基板などにしか用いられてこなかった非磁性の絶縁体材料からも電気・磁気エネルギーを取り出すことが可能になり、スピントロニクスデバイスの設計自由度の向上や、 環境負荷の極めて小さい次世代省エネルギー電子技術開発への貢献が期待されます。
本研究の一部は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として、日本原子力研究開発機構、東北大学大学院工学研究科、カイザースラウテルン工科大学(ドイツ)との共同で行われました。
(詳細は本学HP: http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20110819.pdf)