研究成果のポイント
- 次世代リチウム二次電池用の負極として有望な「アルミニウム箔負極」において、微量のマンガンを加える独自の合金設計により、「利用可能な容量」と「寿命」の間のトレードオフを打破しました。
- 電池動作中に多数のリチウムの通り道が自発的に構築される仕組みを解明し、電極構造を壊さずに深部までリチウムを出し入れすることに成功しました。
- 複雑な塗工工程を必要としない「箔一枚」の極めてシンプルな電極の実用化に道を拓くものであり、将来的な電池製造の大幅な低コスト化と環境負荷低減への貢献が期待されます。
概要
電気自動車等の普及に伴い、より大容量で低コストな次世代リチウム二次電池の開発が急務となっています。「アルミニウム箔負極」は、高エネルギー密度と製造プロセスの簡略化を両立する次世代負極として注目されていますが、電極構造が早期の多孔質化によって劣化し寿命が短くなるか、寿命を延ばす代わりにリチウムが内部に滞留して利用可能な容量が低下してしまうというジレンマを抱えていました。
東北大学金属材料研究所の中田優樹助教、李弘毅助教、市坪哲教授、および株式会社UACJをはじめとする研究グループ(以下、「本研究グループ」)は、微量のマンガンを添加する新たな合金設計により、電極構造を緻密に保ったまま奥深くまでリチウムを出し入れすることに成功し、このジレンマを打破しました。本成果は、複雑な塗工工程を必要としない「箔一枚」の極めてシンプルな次世代電極の実用化に道を拓くものであり、蓄電池の大幅な低コスト化と環境負荷低減につながると期待されます。
なお、本研究の成果は、2026年10月23日 にNature系の材料科学専門誌Communications Materialsにオンライン掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 1.47MB]
- Communications Materials [DOI: 10.1038/s43246-026-01377-6]

図1. 従来の黒鉛負極とアルミニウム箔負極の比較。従来型の黒鉛負極(左)とは異なり、アルミニウム箔負極(右)では部材の塗工が一切不要であり、「箔一枚」で電極として機能する。
