発表のポイント
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金属溶湯脱成分法(Liquid Metal Dealloying: LMD)を用いて、ナノポーラスβ-SiCの作製に成功しました。
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従来の高温SiC合成プロセスと比べて大幅に低い1073 K(800 ℃)で、ナノプレートが三次元的に連結した結晶性β-SiCを形成しました。
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前駆体の層状結晶構造がナノプレート形成に影響した可能性があり、LMDを共有結合性セラミックスの創製へ展開する新しい材料プロセスとして期待されます。
概要
炭化ケイ素(SiC)は、優れた耐熱性および化学的安定性を有するセラミックスです。中でもβ-SiCは、半導体・電子材料、触媒、エネルギー貯蔵材料など、幅広い分野への応用が期待されています。一方、SiCの合成には一般に高温処理が必要であり、ナノスケールの多孔質構造を同時に形成・制御することは非常に困難です。
東北大学金属材料研究所の卞筱(Bian, Xiao)学術研究員(研究当時、同大学大学院工学研究科博士課程学生)、和田武准教授、加藤秀実教授らの研究グループは、溶融金属を利用して特定の元素を取り除く「金属溶湯脱成分法」(Liquid Metal Dealloying: LMD)をSiCの作製に適用し、従来のナノ構造SiCの作製で用いられる1200 ℃以上の高温域に比べて大幅に低い800 ℃で、ナノメートルサイズの薄い板状構造(ナノプレート)が三次元的に連結したナノポーラスβ-SiCの形成に成功しました。本研究は、これまで主に金属・金属間化合物・半金属などに適用されてきたLMDの適用範囲を、共有結合性セラミックスへ拡張する成果です。今後、前駆体の層状結晶構造とナノプレートの成長・結晶方位との関係を明らかにすることで、ナノポーラスセラミックスの構造制御へつながることが期待されます。
本研究成果は、2026年9月4日に無機材料の構造・特性に関する国際専門誌Scripta Materialiaにオンライン掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 470KB]
- Scripta Materialia [DOI: 10.1016/j.scriptamat.2026.117570]

図1. 金属溶湯脱成分法によるナノポーラスβ-SiCの作製と構造形成の概念図。Mn5SiCからMnを選択的に除去することで、三次元的に連結したナノプレート構造を有するβ-SiCが形成されます。
