発表のポイント
- 文献情報から構築した水素貯蔵材料データベースDigHydと、解釈可能な機械学習手法である「シンボリック回帰」(GoodRregressor) を組み合わせ、侵入型金属水素化物の性能を支配する物性因子を特定しました。
- 水素貯蔵量は「金属原子の大きさ(平均金属原子半径)」と「熱の伝わりやすさ(平均熱伝導率)」に、室温平衡圧は「格子の硬さ、変形しやすさ(平均せん断弾性率と平均ポアソン比)」に、それぞれ主に支配されることを明らかにしました。
- 実用的な室温平衡圧(日常の環境、約 1 atm)のもとで高い水素貯蔵量を示す材料の具体的な設計ルートを提示し、固体水素貯蔵材料の探索を加速する指針を得ました。
概要
水素は次世代エネルギーキャリアとして期待されていますが、その実用化には、水素を安全かつ高密度に貯蔵できる材料の開発が課題となっています。国立大学法人東北大学の研究グループは、固体水素貯蔵材料の一種である侵入型金属水素化物について、水素貯蔵量wと室温平衡圧Peq,RTが、物理的に意味のある少数の記述子によって説明できることを明らかにしました。本研究では、文献情報から構築した水素貯蔵材料データベースDigHydと、解釈可能な機械学習手法であるシンボリック回帰GoodRegressorを組み合わせ、原子半径、熱伝導率、弾性特性などが水素貯蔵性能を支配する仕組みを解析しました。その結果、実用的な平衡圧 (約1 atm) 付近で高い水素貯蔵量を実現するための材料設計指針を示すことに成功しました。
本成果は、データ科学と物理的な理解を結びつけた水素貯蔵材料探索の新たな道筋を示すものであり、2026年5月25日(現地時間)に英国王立化学会の学術誌Chemical Scienceに掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 999KB]
- Chemical Science [DOI: 10.1039/D6SC03089K ]

