発表のポイント
- スピンと軌道回転運動の間に強い相互作用が働く「4f電子」の空間分布を、世界で初めて可視化しました。
- 電子のスピン(自転)と軌道回転(公転)が互いに強く結びついた特異な状態を、放射光X線で直接観測しました。
- 磁石材料や量子コンピュータ材料など、次世代技術の基盤となる電子状態の理解に大きく貢献することが期待されます。
概要
東北大学金属材料研究所の野村悠祐教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科の鬼頭俊介助教、有馬孝尚教授(兼:理化学研究所創発物性科学研究センター センター長)、高輝度光科学研究センターの中村唯我研究員、近畿大学理工学部の杉本邦久教授らの研究グループは、東京大学大学院工学系研究科、同大学大学院理学系研究科、理化学研究所との共同で、ランタノイド元素周りに存在する「4f電子」の空間的な広がりを世界で初めて直接観測しました。
本研究グループは、大型放射光施設SPring-8(BL02B1ビームライン)でのX線回折実験と、独自に開発した「コア差フーリエ合成(core differential Fourier synthesis; CDFS)法」という数値解析手法を組み合わせることで、4f電子の空間分布を可視化することに成功しました。4f電子はスピン(自転)と軌道回転(公転)の運動が互いに強く結びついており、その相互作用は物質の磁気的性質や量子材料としての振る舞いを決める重要な要素です。今回の成果は、これまで間接的にしか確認できなかった4f電子の姿を直接「可視化」したものであり、今後、磁石材料や量子コンピュータ材料の研究開発に貢献することが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)』に、2025年10月6日付で掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 361KB]
- Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) [DOI: 10.1073/pnas.2500251122]

