概要
東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授(理研創発物性科学研究センター強相関界面研究グループ客員主管研究員)、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター強相関量子伝導研究チームの川村稔専任研究員、十倉好紀チームリーダー(東京大学卓越教授/東京大学国際高等研究所東京カレッジ)、強相関界面研究グループの川﨑雅司グループディレクタ―(東京大学大学院工学系研究科教授)、強相関理論研究グループの永長直人グループディレクタ―(東京大学大学院工学系研究科教授)、東京大学大学院工学系研究科の森本高裕准教授らの共同研究グループは、磁性トポロジカル絶縁体の積層薄膜における電気磁気効果を初めて観測しました。
本研究成果は、トポロジー(位相幾何学)を利用した新しいタイプの電子輸送に関する基本原理を実証したものであり、トポロジカル物質の応用研究への展開が期待できます。
今回、共同研究グループは、トポロジカル絶縁体の(Bi, Sb)2Te3(Bi:ビスマス、Sb:アンチモン、Te:テルル)と、それに磁性元素であるCr(クロム)やV(バナジウム)を添加した磁性トポロジカル絶縁体の積層薄膜を独自に開発し、試料に加える磁場を変化させると、それに応答して電流が流れることを観測しました。これは、ロバートB.ラフリン教授(1998年ノーベル物理学賞受賞)が理論的に提唱した「ラフリン電荷ポンプ」と呼ばれる現象の観測に相当します。
本研究は、科学雑誌『Nature Physics』オンライン版(1月19日付:日本時間1月20日)に掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 501KB]
- Nature Physics [DOI: 10.1038/s41567-022-01888-2]
磁性トポロジカル絶縁体表面で生じるラフリン電荷ポンプの概念図