発表のポイント
- 層状構造を有しカリウムを含む二酸化マンガンが、高速で繰り返し使える低級廃熱用蓄熱材料として利用可能であることを発見しました。
- 層状二酸化マンガンの吸放熱は、水分子のインターカレーション機構という新しい蓄熱機構によって生じることを解明しました。
- 工場廃熱の回収、昼間の太陽熱を利用して蓄熱し、夜間暖房、自動車エンジンの暖気など幅広い応用が期待されます。
概要
二酸化マンガンは電池の電極活物質に用いられるとても身近な材料ですが,蓄熱材料として積極的に活用された例はありませんでした。東北大学金属材料研究所の畠山拓也氏(東北大学大学院工学研究科 博士課程学生)および市坪哲教授、岡本範彦准教授らの研究グループと株式会社リガク熱分析機器事業部は、二酸化マンガンの結晶構造が異なる各種の相(多形)に関する広範な調査の結果、層状構造を有する二酸化マンガンが、繰り返し使える高性能な蓄熱材料として利用可能であることを発見しました。また、この層状二酸化マンガンの吸放熱反応は、大気中の水分子のインターカレーション機構によって起こることを明らかにしました。この吸熱反応を利用した蓄熱は、低級廃熱程度にあたる120-150℃という低温度で可能であり、優れたエネルギー密度、可逆性および反応速度を実現します。蓄熱した層状二酸化マンガンの発熱効果は、室温付近でも空気中の水分(湿気)を自然に吸収させることで容易に利用できるため、昼間の太陽熱を利用した夜間暖房、機械暖気、熱電発電など幅広い環境下での応用が期待されます。
本成果は、2022年3月17日に、Nature Communications誌にオンラインで公開されました。
本成果は、2022年3月17日に、Nature Communications誌にオンラインで公開されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 634KB]
- Nature Communications [DOI: 10.1038/s41467-022-28988-0]