発表のポイント
- 金属3Dプリンターを用いて作製したハイエントロピー合金において、既存材を上回る耐食性を得ることに成功
- 複雑な熱履歴を経て形成するナノ組織により不動態皮膜が強化されることを見出し、耐食性が向上するメカニズムを解明
- 金属部材の安全性・信頼性向上や金属3Dプリンターを用いた新材料開発への展開が期待
概要
ハイエントロピー合金は異なる5種類以上の元素を同程度ずつ含む多成分合金であり、従来合金にない特異な材料特性を示すことから、世界中で大きな注目を集めています。一方、3Dプリンターは既存の製造プロセスでは困難な複雑形状の造形が可能な革新的な製造技術として社会実装も急速に進んでいます。
東北大学金属材料研究所の山中謙太准教授、白鳥浩史大学院生(研究当時、現:株式会社日立製作所)、千葉晶彦教授、同新素材共同研究開発センターの大村和世技術専門職員、仙台高等専門学校の森真奈美准教授は、株式会社日立製作所との共同研究において、金属3Dプリンターを用いて作製したハイエントロピー合金において既存材を上回る優れた耐食性が得られることを見出しました。
本研究成果は、過酷な腐食環境で使用される金属部材の安全性や信頼性向上への貢献や金属3Dプリンターを用いた新材料開発への展開が期待されます。
本研究成果は、2020年8月11日(英国時間)にNature Publishing Groupが発行するnpj Materials Degradationにオンライン掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 1.28MB]
- npj Materials Degradation [DOI: 10.1038/s41529-020-00127-4]