研究概要
東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター強相関物性研究グループの安田憲司客員研究員、十倉好紀グループディレクター(東京大学卓越教授/東京大学国際高等研究所東京カレッジ)、強相関量子伝導研究チームの吉見龍太郎研究員、強相関界面研究グループの川﨑雅司グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、強相関理論研究グループの永長直人グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、東京大学大学院工学系研究科の森本高裕准教授らの共同研究グループは、磁性トポロジカル絶縁体の量子異常ホール状態において、印加電流方向に依存して抵抗値が異なる整流効果を観測しました。
本研究成果は、量子異常ホール状態の端に流れるトポロジカル電流に生じる新たな整流効果を実現したもので、今後、トポロジカル電流の散逸過程の理解が進むと期待できます。
今回、共同研究グループは、磁性トポロジカル絶縁体「Crx(Bi1-ySby)2-xTe3(Crクロム、Bi:ビスマス、Sb:アンチモン、Te:テルル)」薄膜の量子異常ホール状態に着目しました。量子異常ホール状態のトポロジカル電流は、試料の端に一方向にのみ電荷キャリアを運ぶという性質を持っています。この性質に由来し、印加電流の方向に依存して抵抗の大きさが異なることが明らかになりました。
本研究は、科学雑誌『Nature Nanotechnology』オンライン版(7月13日付:日本時間7月14日)に掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF:893KB]
- Nature Nanotechnology [DOI: 10.1038/s41565-020-0733-2]
量子異常ホール状態における整流効果の概念図