概要
東北大学金属材料研究所の清水悠晴助教(附属量子エネルギー材料科学国際研究センター;以下大洗センター)、青木大教授(アクチナイド物質科学研究部門)、東京大学物性研究所の望月健生博士課程院生(現、住友重工)、金道浩一教授、中村大輔助教を中心とする研究グループにより、以下のことが明らかになりました。
発表のポイント
- これまで未解明だったウラン重い電子系※1超伝導体UNi2Al3の強磁場物性について、78テスラというウラン化合物における最高磁場下で遍歴メタ磁性転移を観測した。
- 単結晶育成の困難なUNi2Al3およびPd置換系U(Pd1-xNix)2Al3の純良単結晶を得ることに成功。ウラン系化合物において90テスラという未踏領域までの超強磁場磁化測定を実施した。
- 今回の観測は、強磁場とウラン化合物の物性という異分野の研究領域の融合によって実現した成果であり、今後の新展開が期待される。
- 本研究成果は、2019年10月23日付でPhysical review Bに掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 1.2MB]
- Physical review B ウェブサイト [DOI:10.1103/PhysRevB.100.165137]
図1. (a)重い電子系超伝導体UNi2Al3および置換系U(Pd1-xNix)2Al3の単結晶試料における磁化曲線及び (b) 微分磁化。挿入図は一巻きコイルを用いた微分磁化の実験結果。 (c) U(Pd0.5Ni0.5)2Al3における磁化曲線の温度変化及び得られた詳しい温度磁場相図(赤い領域は磁場によって誘起されたメタ磁性磁化を表す)。