磁場と物質の作用は磁石だけでなくあらゆる物質に生じます。強磁場は、物質を制御する外部環境の中で最も精密に、その強さ、時間構造および履歴を制御できる外場です。磁気物理学部門では、日常では存在しない強い磁場をもちいて、極限状態であらわれる磁性体の新しい姿とその起源を研究しています。
このために、本部門では、定常及びパルス強磁場を利用して、テラヘルツESR装置、ユニークな強磁場X線分光装置や中性子散乱装置、X線自由電子レーザー回折装置など、最先端の実験手法を開発し、その応用を国内はもとより海外でも展開しています。これらの手法を駆使し、強い電子相関をもつ磁性体、超伝導体、有機導体等において強磁場により誘起される新しい相の研究を進めるとともに、輸送現象や熱物性などマクロな手段も駆使して、新奇な量子状態の磁場制御の研究を行っています。