東北大学金属材料研究所の湯葢邦夫准教授は、名古屋工業大学の林好一教授、茨城大学の大山研司教授や、広島市立大学、高輝度光科学研究センター、熊本大学、日本原子力研究開発機構、J-PARCセンター、高エネルギー加速器研究機構の研究者らと共同で、「白色中性子線ホログラフィー」の実用化に世界で初めて成功しました。
白色中性子線とは、様々な波長を含む中性子線のことを指し、様々な波長の光を含んで白色となる可視光に倣って命名されています。ホログラフィーは、物体を三次元的に記録する撮像法です。白色中性子線を用いると複数の波長で多重にホログラムを記録できるため、従来技術をはるかに凌駕した精密な原子像を取得することができます。
このたび開発した白色中性子線ホログラフィーとは、J-PARCで発生させる多重波長の中性子線を活かし、合計100波長程度のホログラムを一遍に測定できる技術です。X線回折法や電子顕微鏡法では観測できない軽元素の微量不純物の構造を感度よく観測できる点にも特徴があり、添加元素によって性能を制御する半導体材料、電池材料、磁性材料などの機能解明とともに新規材料開発に向けたブレークスルーが生まれると期待されます。
詳細1: プレスリリース本文 [PDF:761KB]
詳細2: Science Advances ウェブサイト [10.1126/sciadv.1700294]
多重波長ホログラムの概念図。 二次元の単波長ホログラムからは三次元像を正確に再生できないが、三次元の多重波長ホログラムからは劣化なく三次元像に戻せる。