プレスリリース・研究成果

金の室温巨大スピンホール効果の観測に成功

2008/01/26

 磁性材料学研究部門(高梨グループ)および金属物性論研究部門(前川グループ)は、本学工学研究科および独立行政法人産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門との共同研究により、磁石の性質を持たない金(Au)の中で電流によって電子スピンの流れ(=スピン流:磁気の流れ)を制御する「スピンホール効果」の観測に成功しました。共同研究グループは、垂直磁化を有する鉄白金(FePt)とAuを組み合わせたナノサイズ素子を作製しその伝導特性を調べたところ、これまでの報告より100倍以上大きいスピンホール効果の電気信号が検出されることを実証しました。今回の成果は、固体磁気記憶素子における新しい読み出し手法や磁気センサ、さらには磁石を用いずにスピン流を生成する新しいスピンエレクトロニクス素子として幅広い応用展開が期待されます。本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Materials」のオンライン版(英国時間1月13日付)で公開されるとともに、日本経済新聞や日刊工業新聞(1月14日付)で紹介されました。

強磁性ジョセフソン共鳴の概念図

高梨グループ (磁性材料学研究部門)

前川グループ (金属物性論研究部門)