プレスリリース・研究成果

強磁性ジョセフソン共鳴の発見

 金属物性論研究部門(前川グループ)は、強磁性体を2つの超伝導体で挟んだ「強磁性ジョセフソン接合」において、交流ジョセフソン電流と強磁性共鳴(FMR)による強磁性体中のスピンの歳差運動との相互作用によってジョセフソン電流に直流成分が誘起されることを理論的に示しました。スピンの歳差運動は強磁性体内部に振動磁場を発生させ、超伝導体側から強磁性体側へ侵入したクーパー対の位相と結合することにより一種の“うなり”現象がおこり、ジョセフソン電流が振動磁場の周波数とジョセフソン周波数(接合に生じる電位差に比例する周波数)の差の周波数で振動します。この“うなり”の周波数がゼロになったときに、ジョセフソン電流に直流成分が誘起されます。この現象を「強磁性ジョセフソン共鳴」と名付けました。この「強磁性ジョセフソン共鳴」の理論は、今後の強磁性ジョセフソン接合における動的な性質の研究の基礎となり、量子ビットの開発に新たな指針を与えるものと期待されます。本成果は、科学新聞(5月30日付)に掲載されたほか、J. Phys. Soc. Jpn.の5月号に掲載され注目論文に選ばれました。

図:スピンゼーベック効果の概念図

前川グループ (金属物性論研究部門)