プレスリリース・研究成果

「スピンゼーベック効果」を発見-熱で磁気の流れを作る-

2008/10/31

 金属物性論研究部門(前川グループ)は、慶應義塾大学理工学部、理化学研究所と共同で、電流や磁界を用いずに、磁石の両端に温度差を付けるだけで磁気の流れ「スピン流」を作り出せることを世界で初めて明らかにしました。この温度差によって作り出した磁気の流れは、従来技術と比較して10000倍以上長い距離にわたって生成可能であることが確認されました。熱エネルギーを磁気の流れに変換することで、磁気メモリや磁気ディスク、量子コンピューターなどを駆動することができ、新しいエネルギー技術としての利用が期待されます。本研究成果は英国科学誌「Nature(ネイチャー)」冊子版(2008年10 月9日付)に掲載されるとともに、同誌掲載号の注目論文(NEWS &VIEWS)に選ばれました。また、11月19日放送のNHK仙台のテレビニュースにおいても紹介されています。

図: スピンゼーベック効果の概念図

図: 電気二重層をコンデンサとする新しいトランジスタ。

前川グループ (金属物性論研究部門)