プレスリリース・研究成果

電界効果で絶縁体を超伝導に

2008/10/31

 超構造薄膜化学部門(川崎グループ)は、金研内での垣根のない緊密な共同研究により、電気を全く流さない絶縁体に電界を印加して超伝導状態へとスイッチすることに世界で初めて成功しました。これまで50年間の同様の試みは全て失敗に終わっていました。電界を印加するためのコンデンサが絶縁破壊するからです。本研究グループは、電解質と固体表面の界面に生じる電気二重層をコンデンサとする新しいトランジスタを構築し、絶縁性のチタン酸ストロンチウム単結晶表面に伝導キャリアを誘起して超伝導状態を実現しました。この電気的な伝導キャリア注入の手法は、新しい超伝導体の探索に応用できると期待されています。本研究は本学原子分子材料科学高等研究機構・本学極低温科学センター・科学技術振興機構との共同研究です。研究成果は、米国科学誌「Nature Materials」への掲載に先立ち電子版で公開(米国東部時間10月12日)に掲載されました。また、13日朝のNHKニュース(全国版)と東日本放送で報道されるとともに、朝日新聞、読売新聞、河北新報(10月13日付)、日本経済新聞(10月20日付)、科学新聞(11月14日付)などでも紹介されました。

電気二重層をコンデンサとする新しいトランジスタ。

図: 電気二重層をコンデンサとする新しいトランジスタ。

川崎グループ(超構造薄膜化学研究部門、原子分子材料科学高等研究機構)
岩佐グループ(低温電子物性学研究部門)
野島グループ(低温物質科学実験室、本学極低温科学センター)