プレスリリース・研究成果

2次元ガラスはどこまでもやわらかくなる -スーパーコンピュータにより巨大な音波ゆらぎの存在を解明-

 東北大学金属材料研究所の芝隼人特任助教(前職:東京大学物性研究所)、山田泰徳元研究員(現職:中国・北京計算科学研究センター)は、名古屋大学大学院理学研究科の川﨑猛史助教、大阪大学大学院基礎工学研究科(前職:新潟大学大学院自然科学研究科)の金鋼准教授と共に、2次元平面内に並んだガラス固体は、結晶性物質と同じしくみで莫大な音波ゆらぎの増幅が生じることを、大型計算機(スーパーコンピュータ)を用いたシミュレーション計算により世界で初めて見出しました。

 ガラス物質は液体のように乱れた原子配列を保ちながら、固体の性質である硬さも伴います。そのため、ガラス物質が示す性質のうち、結晶(規則正しい原子配列を持つ物質)の性質とどこまでが共通し、どこが異なるのか、長い間検討されてきました。中でも分子の動き(ゆらぎ)に関しては、規則的な原子配列の結晶と不規則な原子配列のガラス物質とでは異なるだろうと考えられてきました。しかし、ガラス物質中の分子が実際どのように動くのか、その実態は今でも完全には解明されていません。

 本研究は、原子配列に秩序のない物質でも、もともと剛性が低い低次元系は結晶と同様巨大な振動(音波ゆらぎ)が発生するということを示した初めての報告です。本成果は低次元の分子の自由度が主要な役割を果たすソフトマターなどを始めとする材料のゆらぎについて、今まで見過ごされてきた新たな物性を提案するものであり、また広い意味でのガラス物質の今後の物性解明に大きく寄与する成果です。

 

※この成果は米国科学誌「Physical Review Letters」に12月7日にオンライン掲載されました。

 

 詳細1: プレスリリース本文 [PDF:1.6MB]

 詳細2: Physical Review Letters ウェブサイト [10.1103/PhysRevLett.117.245701]

 

ガラス物質が示す2次元(左)および3次元(右)の粒子配置の模式図