プルトニウム化合物は、それ自身が出す強い放射能のために試料がダメージを受け、これまで量子振動(dHvA効果)を観測した例は皆無だった。今回、フラックス法によりPuIn3の純良単結晶育成に成功し、短時間でdHvA効果を測定することで、プルトニウム化合物としては初めてフェルミ面の観測に成功した。プルトニウムの5f電子が重い有効質量を持ちながら、結晶中を動き回っていることが分かった。この成果は、日刊工業新聞(11月9日)に掲載され、論文はJ. Phys. Soc. Jpn.の注目論文として「Papers of Editor's Choice」に選ばれた。本研究は日本原子力研究開発機構、京都産業大学、大阪大学との共同研究である。
図:PuIn3のdHvA振動。(a) 単結晶育成直後のdHvA振動、(b)10日後のdHvA振動。
塩川グループ (放射線金属化学研究部門)
附属量子エネルギー材料科学国際研究センター
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