プレスリリース・研究成果

電気・磁気変換の新原理「スピン起電力」の実現に成功 -ナノデバイスによる新しい電磁気学と「超」巨大磁気抵抗効果-

  

金属物性論研究部門は、東京大学工学系研究科、マイアミ大学物理学教室と共同で、強磁性ナノ粒子を含む磁気トンネルデバイスにおいて、静磁場により起電力が発生する「スピン起電力」の効果の存在を世界で初めて実証しました。スピン起電力は、前川教授らにより、その存在が理論的に予言されていたものです。本研究は電磁気学の基本法則を約180年ぶりに拡張し、トンネル磁気抵抗デバイスを用いて実験的にも証明したものです。さらに、このスピン起電力により、従来技術の1000倍となる抵抗比100,000%を超えるきわめて大きな磁気抵抗効果を実現しました。これにより、磁気エネルギーから電気エネルギーへの効率的な変換が可能になり、新しいタイプの電池「スピン電池」や超高感度磁気センサーとしての応用が期待されます。本研究成果は英国科学誌「Nature(ネイチャー)」Online版(2009年3月8日付)に掲載され、日刊工業新聞(2009年3月9日付)に紹介されました。

図: ファラデーの電磁誘導の法則とスピン起電力による起電力の比較。コイルの近くに磁石を置いた場合、磁場は静止している(静磁場)ためコイルに起電力は生じない(a)。磁石を動かすとコイルを貫く磁場が時間的に変化するのでコイルの両端に誘導起電力が発生する(b)。これに対し、スピン起電力では、ナノデバイスに含まれる磁性ナノ粒子の存在により静磁場でも起電力が発生する(c)。

図: ファラデーの電磁誘導の法則とスピン起電力による起電力の比較。コイルの近くに磁石を置いた場合、磁場は静止している(静磁場)ためコイルに起電力は生じない(a)。磁石を動かすとコイルを貫く磁場が時間的に変化するのでコイルの両端に誘導起電力が発生する(b)。これに対し、スピン起電力では、ナノデバイスに含まれる磁性ナノ粒子の存在により静磁場でも起電力が発生する(c)。

前川グループ(金属物性論研究部門)