プレスリリース・研究成果

スピントロニクスデバイスのシミュレーション・ツールを開発

  

金属物性論研究部門は、株式会社日立製作所と共同で、固体中の電子が持つ磁気的な性質である「スピン」を制御する、スピントロニクスデバイスの新しいシミュレーション・ツールを開発しました。開発したツールは、量子力学的な手法により、電子における「スピン」の流れ(スピン流)と、電子単位のスピントルクを計算し、この結果を磁化の動的シミュレーションに組み入れることによって、磁化を反転させる電流を予測する技術です。本技術を、これまで電子の複雑な挙動のために解析することができなかった2層の強磁性体からなる磁性多層膜に用いたところ、磁化が反転する電流をシミュレーションによって予測できることが分かりました。本技術は、磁性多層膜を利用したスピントロニクスデバイスの現象解明や設計に道を拓くものです。本研究成果は、7月26 日からドイツのカールスルーエで開催された磁性に関する国際会議「International Conference on Magnetism(ICM2009)」で発表され、化学工業日報(2009年7月27日付)および日刊工業新聞(2009年7月30日付)に紹介されました。

スピン分極した入射電流(緑のボールと矢印)が、2つの強磁性層からなる多層膜(積層フェリ構造)に 同一方向のトルクを働かせる

スピン分極した入射電流(緑のボールと矢印)が、2つの強磁性層からなる多層膜(積層フェリ構造)に 同一方向のトルクを働かせる

 
前川グループ(金属物性論研究部門)