東北大学金属材料研究所の青木大教授、フランス国立科学研究センター(CNRS)のIlya Sheikin研究員は、フランス原子力庁(CEA-Grenoble)、オランダ強磁場研究所(HFML-EMFL)と共同で、重い電子系超伝導体CeIrIn5のフェルミ面が強磁場中で突然消失することを発見しました。フェルミ面は「金属の顔」とも呼ばれ、金属の性質を支配する重要な物理量です。CeIrIn5の純良単結晶を育成し、磁気トルク、熱電能を精密測定して、その量子振動を強磁場、極低温下で観測しました。その結果、フェルミ面が30テスラ(地磁気の約100万倍)で大きく変貌していることが分かりました。これは、磁場で誘起されたリフシッツ転移と呼ばれる現象です。この成果により、強磁場中でのエキゾチックな新量子相発見につながることが期待されます。
本成果は、2016年1月22日、米国科学誌「Physical Review Letter」にオンライン公開されました。
詳細: Physical Review Letter Webサイト [DOI:10.1103/PhysRevLett.116.037202]
図:強磁場中の磁気トルク、熱電能で観測されたCeIrIn5のフェルミ面の変化