プレスリリース・研究成果

エックス線照射で有機絶縁体が金属に変化

   低温物理学研究部門(小林グループ)は、エックス線を有機物絶縁体にあてるという簡単な手法により、電気が流れない絶縁体を電気を流すことが出来る金属に変化させることに成功し、さらに、この変化を赤外光反射スペクトルの変化として観測してその機構を明らかにしました。この結果は、有機物でできた絶縁体にエックス線を照射することによって金属的な良く電気を運ぶキャリアが作られることを示しています。今回の発見は、有機物の中をどのように電気が流れるかを解明する基礎的な研究を進展させただけではなく、有機半導体エレクトロニクスの発展にも寄与するものです。この研究成果は、米国科学誌「Physical Review Letters」(11月14日号)に掲載されました。また、日刊工業新聞(2008年11月25日付)、化学工業日報(11月26日付)、朝日新聞(11月28日付)及び科学新聞(12月5日付)で紹介されました。

分子でできた有機モット絶縁体(左図)にエックス線照射すると電気抵抗が大きく減少します。

図: 分子でできた有機モット絶縁体(左図)にエックス線照射すると電気抵抗が大きく減少します。(右上図) 照射後の電気抵抗は、照射前の値に比べて室温では40%程度、低温では3桁以上の大きな減少を示します。(右下図) 同時に遠赤外光領域(低波数領域)の反射率が大きく増加します。この光学反射率の増加は動くことができる金属的な電子(電気を運ぶことができる電子)が確かに作られたことを示しています。

小林グループ(低温物理学研究部門)