プレスリリース・研究成果

酸化ハフニウム基強誘電体の基礎特性を解明  -超高密度で高速動作する不揮発性メモリー実現に道-

2016/09/12

 東北大学金属材料研究所の今野豊彦教授と木口賢紀准教授、東京工業大学元素戦略研究センターの清水荘雄特任助教と物質理工学院兼同センターの舟窪浩教授、物質・材料研究機構 技術開発・共用部門坂田修身ステーション長らの研究グループは、スマホやパソコンのトランジスタ(スイッチ)に使われている酸化ハフニウムを基本組成とした強誘電体の、電源を切った時に貯められる電気の量や、使用可能な温度範囲といった基礎特性を解明しました。
 研究グループは結晶方位を制御した単結晶薄膜を電極上に作製することにより、これまで明らかになっていなかった特性の解明に成功しました。その結果、酸化ハフニウム基の強誘電体が従来使用されてきた強誘電体に匹敵する特性を有することが明らかになりました。強誘電体を用いたメモリーは、交通機関の定期券等に使用されている非接触式ICカード(電子マネー)として実用化されています。今回の成果によって明らかになった優れた特性と、これまでの物質では不可能であった薄膜化しても特性が劣化しない特性を活用すれば、メモリーの飛躍的な高密度化が期待できます。
 今回の研究成果は、ネイチャー誌の姉妹誌である学術誌「サイエンティフィックレポート(Scientific Reports)」オンライン版に9月9日付で掲載され、2016年10月7日付の科学新聞に掲載されました。

 

 詳細1: プレスリリース本文 [PDF:543KB]

 詳細2: Scientific Reports ウェブサイト [DOI:10.1038/srep32931]

左図:分子性結晶 -(ET)2I3 におけるディラック電子の速度の増大。右図:分子性結晶 -(ET)2I3 におけるフェリ磁性の模式図。

結晶構造の温度変化 強誘電相は、400℃以上の温度まで安定に存在することがわかる