プレスリリース・研究成果

フント則の根源的理解に成功

フントは1925年に「同一電子配置に属す全軌道角運動量Lおよび全スピン角運動量Sで指定されるLS状態の中で、スピン多重度Sの最大状態が最低エネルギーを示す」という経験則を発見しました。早速、量子力学が適用され、1929年にスレーターは、交換エネルギーに由来するという摂動論的考えに基づいてフント則を解釈しました。ほとんど全ての教科書参考書は、現在でも、この伝統的解釈を踏襲しています。しかし、この解釈は全くの間違いであり、「フントの多重度則の起源は、運動エネルギーはもちろんのこと、電子間斥力エネルギーをも増加させる代償として、主要項である原子核電子間クーロン引力エネルギーが降下することにある(ビリアル定理2T+V=0から明白)」ことを、安原洋名誉教授、本郷研太研究員、及び大学院生の小山田隆行君がスーパーコンピューターを活用した超大規模拡散量子モンテカルロ法計算によって精密に証明しました。この件の発表は、2004年のJOURNAL OF CHEMICAL PHYSICSに掲載された炭素原子の基底状態の厳密計算結果に始まりますが、同誌2006年6月号に第1及び第2周期の重要な元素全てに関する結果が発表されました。科学新聞2006年2月3日号の人物百花にも掲載され、教科書を書き換えるレベルの業績として広く注目を集めるようになりました。
川添グループ (計算材料学研究部門)