高密度水素貯蔵材料としてのアルミニウム水素化物の合成技術を確立した。これは、(株)日本製鋼所との産学共同研究の成果である。多くの結晶構造を有するアルミニウム水素化物は、化学プロセスにより古くから合成が試みられてきたが、その条件制御が極めて難しく、また水素貯蔵材料としての特性も未解明な点が多かった。当研究室では、米国・ハワイ大学との国際共同研究により代表的な3種類の結晶構造のアルミニウム水素化物の合成に成功するとともに、水素との反応性などの基礎データを解明した。この国際共同研究をもとにして、(株)日本製鋼所が水素貯蔵材料として最も適したアルミニウム水素化物を安定的に合成する技術を確立した(ユーザーへの材料供給も予定)。得られた水素化物を携帯燃料電池用水素カートリッジに充填して水素放出特性を評価した結果、従来の水素貯蔵材料を用いた場合に比べて半分の重量で約2倍の水素が供給可能となった。これらの成果は、化学工業日報、鉄鋼新聞(2007年7月23日付)、日経産業新聞(同24日付)、日刊工業新聞(同30日付)などで紹介された。
高密度水素貯蔵材料としてのアルミニウム水素化物