プレスリリース・研究成果

鉄系高温超伝導の発現機構を解く鍵となる電子状態を解明

2014/12/01

 東北大学金属材料研究所の橋本顕一郎助教、東京大学大学院新領域創成科学研究科の水上雄太助教、芝内孝禎教授(京都大学大学院理学研究科客員教授兼任)らは、鉄系高温超伝導体についてこれまで明らかになっていなかった超伝導電子の電子状態を解明しました。これは、純良単結晶に電子線を照射して、その照射量を増やすに伴い超伝導電子の数が非単調に変化することを初めて観測したことにより、明らかになったものです。 2008年に発見された鉄系超伝導体は、その発見以降、短期間で膨大な量の研究がなされたにもかかわらず、その超伝導発現機構と密接に関係する超伝導電子の電子状態が未解明でした。本研究によってそれは「s±(エス プラスマイナス)」型の対称性であることが明らかとなり、これは磁気揺らぎを主な機構とする超伝導において提案されたものです。今後より高い温度での超伝導の実現を目指し、この機構を用いた超伝導体の設計指針につながることが期待されます。

 本研究成果は2014年11月28日付で、英国科学誌Nature Communications にオンライン掲載されました。

 

詳細(プレスリリース本文): http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20141126_02web.pdf [PDF:279KB]