プレスリリース・研究成果

"分子で磁石を創る"新たな設計法を開発

2014/12/15

 国立大学法人東北大学【総長 里見進】金属材料研究所【所長 高梨弘毅】の福永大樹氏(同大学大学院理学研究科化学専攻博士前期課程2年)と宮坂等教授は、鎖状と層状の二種類の低次元磁気格子からなる分子磁性体(分子磁石)を構造的に組み合わせることにより、それぞれの構成格子の構造と磁気的な特徴を併せ持つ新しい三次元格子からなる分子磁石を設計することに成功しました。本物質では、類似の構成部位をもつ層状構造をもつ磁性体とπスタック型カラム状構造をもつ磁性鎖を選択することにより、両者の構造的な特徴である二次元層とπスタック鎖(柱)を組み合わせた"πスタック型ピラードレイヤー構造"を溶液内で自己組織的に集積させ、層内の磁気秩序と層間の磁気秩序を一義的に制御する方法論を提案しています。実際に、本方法により、磁気相転移温度TC = 82 Kの分子磁石をつくることに成功しました。 本研究の結果は、2種類の低次元磁気格子を組み合わせて磁石を設計する新たな方法論を示しているだけでなく、電荷移動型錯体による高相転移温度磁石の開発に道筋をつけています。また、本設計法は、分子の持つ多様な機能性を組み合わせて磁性体を作ることも可能にしており、多機能性磁性体の開発という点でも今後興味が持たれます。

 

 本研究成果はドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」に受理され、Very Important Paper (VIP)に選ばれました。また、2014年12月22日付の日経産業新聞、2015年1月9日付の科学新聞に掲載されました。

 

詳細(プレスリリース本文): http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20141212_02web.pdf [PDF:182KB]