プレスリリース・研究成果

鉄系超伝導体の新たな極薄膜化技術の確立 -極薄膜の物性解明への貢献が期待-

 東北大学金属材料研究所の塩貝純一助教、伊藤恭太大学院生、三橋駿貴大学院生、野島勉准教授、塚﨑敦教授らの研究グループは、鉄とセレンからなる層状の超伝導物質であるセレン化鉄(FeSe)を、電気化学反応をつかったエッチング法という手法を用いて極薄膜化する技術を確立しました。この手法により、一つのFeSe試料で約20 nmから単原子層0.6 nmまでの厚みを連続的に変化させた実験を実現できます。

 さらに本研究では、転移温度40 K(ケルビン)の高温超伝導が、単原子層0.6 nmから数nmという幅広い厚さの薄膜状態で実現することを初めて観測しました。これまで、極薄膜セレン化鉄の高温での超伝導転移は厚さ約1 nm以下でしか起こらないと考えられてきましたが、この成果により、極薄膜状態での高温超伝導誘起の起源について理解が進むものと期待されます。

 また、今回確立した薄膜エッチング法は、セレン化鉄以外の物質にも適用することができるため、極薄膜に出現する新奇物性の探索研究に広く展開されることが期待されます。

 本研究成果は英国科学誌「Nature Physics」オンライン速報版(日本時間2015年11月3日)に掲載されました。

 

詳細1: プレスリリース本文 [PDF:488KB]

詳細2: Nature Physics Webサイト [doi:10.1038/nphys3530]

 

 

図:電気二重層トランジスタの素子構造(左)とFeSe表面の電気化学反応のイメージ図(右)。(カーソルを合わせると詳細説明がご覧いただけます。)