東北大学金属材料研究所の野尻浩之教授らは、電機通信大学石田尚行教授らとの共同研究で、希土類イオンと3d遷移金属からなるヘテロメタル磁性体の金属イオン間の磁気結合が原子番号とともにどのように変わるか-化学的傾向性を明らかにしました。その結果によれば、3d遷移金属がVとCuの場合は、相互作用が希土類の原子番号の増加と共に減少する傾向があること、また、両者で磁気結合の符合が逆転することなどが判りました。このような系統的な研究により、強い磁気結合をもたらすための物質開発の指針が与えられ、今後の材料開に大きく貢献することが期待されます。本研究で成功した、多数の試料の磁気結合の正確な決定は、これまでは、非常に時間がかかるため行われてきませんでしたが、今回、野尻浩之教授らが開発 した高性能のテラヘルツ電子スピン共鳴装置と磁気結合評価のための有効理論を組み合わせることにより 従来の10倍以上の効率で、かつ格段によい精度での決定が可能になりました。本成果は、今後様々な磁性体の磁気結合の評価に利用することが期待されています。
この成果は、Dalton Transactions誌41巻13609頁に掲載され、裏表紙を飾りました。