発表のポイント
-
新規開発した3次元電子顕微鏡法により、酸化物基板に担持された白金ナノ触媒の3次元構造の再構成に成功した。
- 統計的解析手法および理論計算との融合により、ナノ粒子表面の動的な原子サイトに生じた負電荷の偏りが触媒活性に大きく寄与していることを初めて明らかにした。
- 3次元電子顕微鏡法と理論計算を融合することにより、触媒活性サイトが明らかになり、高性能な触媒開発を大きく加速することが期待される。
概要
東北大学金属材料研究所の川原 一晃 准教授(研究当時:東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構 助教)、東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構の石川 亮 特任准教授、窪田 陸人 大学院生(研究当時)、二塚 俊洋 特任研究員、幾原 雄一 東京大学特別教授(兼:東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR) 教授)、柴田 直哉 教授による研究グループは、新規に開発した3次元電子顕微鏡法と理論計算を用いることにより、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板に担持された白金ナノ粒子の3次元原子構造とその電子状態の解明に成功しました。SrTiO3基板に担持された白金ナノ粒子は、水分解やさまざまな化学反応を促進する不均一触媒として非常に重要な材料です。触媒活性の本質的な理解のためには、触媒反応が進行する活性サイトの原子構造と電荷分布の関係を明らかにすることが極めて重要です。本研究では、原子分解能電子顕微鏡の像強度を定量的・統計的に解析することにより、酸化物基板に担持された白金ナノ粒子の3次元原子構造および動的構造を明らかにしました。さらに、得られた実験結果に基づいた理論計算を行うことにより、配位数が小さく不安定な原子サイトに負の電荷が偏っており、そこが活性サイトであることも明らかにしました。本成果は、触媒設計に新たな指針を与え、高性能な触媒開発を加速することが期待されます。
本研究成果は2026年2月27日(英国時間)に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 1.73MB]
- Nature Communications [DOI: 10.1038/s41467-026-69767-5]

