発表のポイント
- 金属ガラスの圧縮試験において、試料と圧縮平板の間に潤滑材(摺動性材料)を挿入することで「伸び」が発現する詳細なメカニズムを、実験とシミュレーションの融合により初めて解明しました。
- 摺動性材料の挿入により試料と圧縮平板の接触状態が固着から膨張へと変化し、それに伴い試料内に不均一な応力分布が形成されることを可視化しました。
- 不均一な応力分布が試料内に段階的な局所すべりを誘発し、き裂の急激な進展を抑制することで塑性変形が多数分散して生じ、試料全体として伸びが発現することを明らかにしました。
概要
金属ガラスは通常、脆性を示しますが、圧縮試験時に試料と圧縮平板の間に摺動性材料を挿入することで伸びが発現することが知られていました。一方で、そのメカニズムは十分には明らかになっていませんでした。東北大学金属材料研究所の山田類助教、東北大学学際科学フロンティア研究所の才田淳治教授及び韓国 Kumoh National Institute of TechnologyのWook Ha Ryu助教らの研究グループは、金属ガラスと圧縮平板の間にテフロンテープを挿入し、その変形挙動をデジタル画像相関法および有限要素法により解析しました。その結果、テープの挿入により接触状態が固着から膨張となり、試料内に不均一な応力分布が形成されることを解明しました。これが試料内に段階的な局所すべりを誘発し、き裂の急激な進展を抑制・遅延させることで試料全体として大きな伸びを発現させることを明らかにしました。本知見は、金属ガラスは本質的に脆いとみなされていたこれまでの概念に対して、材料設計や使用条件によって延性的変形を達成できる可能性を示したもので、本材料の工業的応用に新たな指針を提示するものと考えられます。
本研究成果は、2026年1月28日に材料系国際専門誌の「Scripta Materialia」にオンライン掲載されました。
詳細
- 資料全文 [PDF: 447KB]
- Scripta Materialia [DOI:doi.org/10.1016/j.scriptamat.2026.117165]

