プレスリリース・研究成果

酸化物の異符号極性面上の磁石は全く異なる性質を示すことが明らかに

 東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の千葉大地准教授、同附属総合研究機構の柴田直哉准教授からなる研究チームは、同種の酸化物と金属磁石の積層構造であっても、酸化物側に電気的な極性があるときには、その極性の符号に依存して金属磁石の構造や磁気的性質が大きく異なることを明らかにしました。得られた結果は、磁気記録や磁気センサに広く用いられている酸化物と金属磁石の積層構造からなる素子をデザインする上で、今後重要な指針を与えることが期待されます。

 研究チームは、亜鉛(Zn)・酸素(O)両極性面を表裏にもつ酸化亜鉛(ZnO)基板上に、同じ条件で、数ナノメートル以下の薄いコバルト(Co)を製膜しました。その結果、極性面に応じて、製膜されたCoの結晶構造そのものが全く異なることが明らかになりました。それだけでなく、亜鉛(Zn)極性面上のCoでは磁化が揃いやすい方向が膜面内にあるのに対し、酸素(O)極性面上では膜面垂直方向に磁化が揃うことが分かりました。このように、同じ物質同士を組み合わせた積層構造でも、その性質に劇的な違いがもたらされることが分かりました。つまり、シンプルな構造でありつつも、自然界では存在しえない構造を人工的に作り出すことで、新たな機能をもつ磁石が得られることが示されました。同構造では、ZnOとCoの界面にビルトインされた電界を有するという意味でも、それを利用した物理的基礎研究や応用研究の舞台となる系を提供するものと期待されます。

 本成果は、2016年11月29日(英国時間)に、英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

 

 詳細1: プレスリリース本文 [PDF:353KB]

 詳細2: Scientific Reports ウェブサイト [DOI:10.1038/srep38005]

 

亜鉛及び酸素極性面上に製膜したコバルト薄膜の透過型電子顕微鏡像

亜鉛及び酸素極性面上に製膜したコバルト薄膜の透過型電子顕微鏡像(左)と磁気特性(中央)。(右)は試料構造と磁化方向を模式的に示したもの。