プレスリリース・研究成果

相変化メモリの消費電力二桁減につながる新材料を発見 - 高速化が進む演算速度に追従する半導体メモリ用材料として期待 -

2023/06/30

発表のポイント

  • 二次元層状物質であるテルル化ニオブ(NbTe4)がアモルファス/結晶相変化により大きな電気抵抗変化を示すことを発見。
  • 従来の常識を打ち破る低融点かつ高結晶化温度の実現により、実用のGe-Sb-Te化合物(GST)よりも約二桁の動作エネルギー低減が可能。
  • 省エネルギー、高速動作かつ高温使用を可能とする不揮発性メモリの新材料として期待。

概要  

Society5.0の実現およびその発展に向けて、省エネルギーや高速動作を実現する半導体メモリ素材の開発が求められています。

東北大学金属材料研究所の久保百司教授と材料科学高等研究所の陳茜助教(研究当時は未来科学技術共同研究センター所属および金属材料研究所兼務)は、材料科学高等研究所の双逸助教と大学院工学研究科の須藤祐司教授、産業技術総合研究所、慶應義塾大学の研究者らとともに、二次元層状物質であるNbTe4が、アモルファス/結晶相変化により、一桁以上の大きな電気抵抗変化を生じることを発見しました。またNbTe4のアモルファス化温度(=融点)は約450℃と極めて低いにもかかわらず、その結晶化温度が約270℃と高いことが分かりました。このことはNbTe4がアモルファス化しやすく、かつそのアモルファス相が熱的にも安定であることを意味します。さらにアモルファス/結晶相変化が数十ナノ(ナノは10億分の1)秒といった極短時間で生じることを実証しました。

高い結晶化温度でかつ低い融点を両立し、高速相変化を示すNbTe4は、省エネルギー、高速動作かつ高温使用を可能とする不揮発性メモリの新しい材料となることが期待されます。

本成果は、2023年 6 月20 日にドイツの科学誌 Advanced Materialsのオンライン版で公開されました。

詳細

 

図1. 様々な二次元層状物質の融点と結晶化温度の関係。本成果のNbTe4は、従来の二次元層状物質に比較して極めて融点が低いにもかかわらず、200℃以上の高い結晶化温度を維持。
2D TMT:二次元遷移金属テトラカルコゲナイド (2Dimensional Transition-Metal Tetrachalcogenide, MX4, M:遷移金属元素, X: カルコゲン元素)
2D TMD:二次元遷移金属ダイカルコゲナイド (2Dimensional Transition-Metal Dichalcogenide, MX2, M:遷移金属元素, X: カルコゲン元素)