発表のポイント
- アルミニウムとゲルマニウムの合金を成分に含む特殊ペーストを用いて、高品質なシリコンゲルマニウム半導体の膜をシリコン基板上に実現。
- 製造プロセスはペーストの印刷と数分程度の熱処理であり極めて簡便。
- 超高効率太陽電池のコストの50%以上を占めるゲルマニウム基板を代替し、飛躍的な低コスト化に貢献する可能性。
概要
東北大学金属材料研究所の藤原 航三 教授は、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院工学研究科の福田 啓介 博士前期課程学生(研究当時)、宮本 聡 特任講師、宇佐美 徳隆 教授、大阪大学大学院工学研究科・東洋アルミニウム半導体共同研究講座のダムリン マルワン 特任教授(東洋アルミニウム株式会社シニアスペシャリスト)、奈良先端科学技術大学院大学の浦岡 行治 教授らとの共同研究で、東洋アルミニウム株式会社の独自技術により作製される特殊なペーストをシリコン単結晶基板に印刷して熱処理を行うことで、高品質なシリコンゲルマニウム半導体を非真空で実現することに成功しました。
本研究成果は、超高効率多接合太陽電池の低コスト化の貢献に期待できます。
宇宙用の超高効率多接合太陽電池では、ゲルマニウム基板の上に複数の化合物半導体薄膜太陽電池を重ねることで高いエネルギー変換効率を実現しています。しかし、ゲルマニウム基板が製造コストの50%以上を占めており、地上での利用に向けては安価な材料で代替することが課題となっていました。そこで本研究は、アルミニウムとゲルマニウムの合金を含む特殊なペーストをシリコン基板上に印刷し、わずか数分間の熱処理を行うことで、高品質なシリコンゲルマニウムの膜を実現しました。安価なシリコン基板上に作製されたシリコンゲルマニウム膜を、化合物半導体の基板として利用することで、超高効率多接合太陽電池の製造コストを1/10以下にすることが期待されます。
本研究成果は、2022年9月12日午後6時(日本時間)付イギリスのNature Research社が発行する自然科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)、東北大学金属材料研究所における共同研究のもとで行われたものです。
本研究成果は、超高効率多接合太陽電池の低コスト化の貢献に期待できます。
宇宙用の超高効率多接合太陽電池では、ゲルマニウム基板の上に複数の化合物半導体薄膜太陽電池を重ねることで高いエネルギー変換効率を実現しています。しかし、ゲルマニウム基板が製造コストの50%以上を占めており、地上での利用に向けては安価な材料で代替することが課題となっていました。そこで本研究は、アルミニウムとゲルマニウムの合金を含む特殊なペーストをシリコン基板上に印刷し、わずか数分間の熱処理を行うことで、高品質なシリコンゲルマニウムの膜を実現しました。安価なシリコン基板上に作製されたシリコンゲルマニウム膜を、化合物半導体の基板として利用することで、超高効率多接合太陽電池の製造コストを1/10以下にすることが期待されます。
本研究成果は、2022年9月12日午後6時(日本時間)付イギリスのNature Research社が発行する自然科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)、東北大学金属材料研究所における共同研究のもとで行われたものです。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 773KB]
- Scientific Reports [DOI: 10.1038/s41598-022-19122-7]