プレスリリース・研究成果

単一強磁性体素子で3次元磁場検出を実現 3次元磁気センサの小型化に向けた新たな設計指針を提示

2021/10/05

発表のポイント

  • 強磁性体Fe-Snナノ結晶の薄膜は、外部磁場に依存して巨大な異常ホール効果と磁気抵抗効果を示すことから、磁気センサの基盤材料として有望です。
  • 異常ホール効果、一方向性磁気抵抗効果及び異方性磁気抵抗効果を組み合わせることで、平面型単一素子による3次元磁場ベクトルの検出を実証しました。
  • 磁気センサの小型化に向けた素子開発への新たな設計指針となります。

概要 

 磁場ベクトルの大きさと方向を同時に検出する3次元磁気センサは、移動体の位置・速度・角度の検出を可能とします。スマート社会における自動化やロボットの社会実装の進展に伴い、磁気センサの小型化の重要性がますます高まっています。
 従来よく用いられる3次元の磁気センサは、3方向の磁場ベクトルを検出するために3つの磁気センサを各方向に配置しており、この構成では小型化や低消費電力化に対する制約がありました。
 東北大学金属材料研究所の塩貝純一助教、藤原宏平准教授、野島勉准教授、塚﨑敦教授らの研究グループは、強磁性体Fe-Snナノ結晶薄膜素子を用いて、平面型単一素子による3次元磁場ベクトルの検出を実証しました。
 この成果は、3次元磁気センサの小型化の実現だけではなく、強磁性体を使った新たな機能性センシング素子の開発に貢献するものと期待されます。
 本研究成果は、2021年10月4日10:00(英国時間)に英国科学誌「Communications Materials」オンライン版に掲載されました。
 

詳細

 

図1: (a)本研究で使用したFe-Sn薄膜積層構造の断面図。(b)素子構造と電気抵抗測定の配置図。(c)磁場ベクトルの模式図。