プレスリリース・研究成果

薄い被覆の接合強度の測定に成功 マイクロメートルサイズの超微小試験技術を駆使する

2021/09/03

発表のポイント

  • マイクロメートルサイズの試験片を作製・評価可能な超微小試験技術によって、鉄鋼材料に被覆した0.2mmの薄いタングステン被覆の接合強度の測定に成功しました。
  • 爆発接合法によって鉄鋼材料に被覆されたタングステンの界面せん断強度は、タングステンや鉄鋼材料のせん断強度よりも強いことが定量的に明らかになりました。
  • 様々な被覆材料の界面強度を測定可能な技術であり、様々な機器で活用が進むマルチマテリアル技術の安全性評価に貢献できる可能性があります。

概要

 薄く被覆された材料の界面接合強度は、被覆層の大きさに制限があるため、通常の強度試験では正確に測定することが困難です。東北大学金属材料研究所のWu Xiangyu氏(東北大学大学院工学研究科 博士課程学生)および笠田竜太教授らの研究グループは、京都大学エネルギー理工学研究所の小西哲之教授ら、熊本大学産業ナノマテリアル研究所の外本和幸教授ら、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の安堂正己主幹研究員らとの共同研究により、鉄鋼材料に対して爆発接合法によって被覆したタングステン箔の界面接合強度を、超微小試験技術であるマイクロ引張試験およびマイクロせん断圧縮試験によって明らかにしました。
 本研究成果は、未来のエネルギー源として開発が進められている核融合炉の厳しい環境に耐える被覆技術の評価法に関連するものですが、様々な被覆材料の界面強度の測定に応用可能であり、高機能化や軽量化を目指して様々な産業機器で活用が進むマルチマテリアル技術の安全性評価に貢献できる可能性があります。
 本成果は2021年9月2日に、Materials Science and Engineering: A誌にオンラインで公開されました。
 

詳細

 
 

図 超微小試験技術による界面強度の直接評価の流れ