発表のポイント
- 半導体への光レーザー照射後、“物質の温度”が定まるまでに必要な時間(寿命)を正確に測定する手法を開発
- 情報記録の要となる「Blu-ray等に用いられる光相変化材料の相変化」がどのように起こるかという未解明の現象を紐解くために重要な手法
- 新規高速作動光メモリの原理解明につながることが期待
研究概要
DVDやBlu-ray等の記録面に用いられている「光相変化材料」に、十兆分の一秒という超短光パルスを照射すると、一千億分の一秒程度という超短時間で結晶-アモルファス間の相変化が起こることが報告されており、この超高速作動が次世代光記録デバイスの作動原理になると期待されています。しかしこの超短時間の相変化がどのように起こるのかについては未解明であり、これを決定する新たな実験手法が望まれていました。
東北大学金属材料研究所の谷村洋助教、市坪哲教授らはレーザーを用いた超高速光学応答分光法を用い、光照射により物質が「非熱的」な状態にある極短時間の寿命を正確に測定することに成功しました。この成果により、光照射によって進行する超高速現象の研究および光相変化材料を用いた新規高速作動デバイスの原理の理解が一層加速するものと期待されます。
本成果は、「Advanced Functional Materials」へ6月5日(金)にオンライン掲載されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF:525KB]
- Advanced Functional Materials [DOI: 10.1002/adfm.20202821]
非熱的/熱的の区分により考案された、光励起後の物質内での超高速時間変化の模式図。