発表のポイント
- 低温・高磁場でなければ観測できなかった、音波によるスピン流の増幅を室温かつ低磁場で実現することに成功した。
- 材料に着目することで増幅率を従来の700%近く向上することができた。
- 室温・低磁場環境での実証により、スピンを利用した熱電素子の性能向上に利用できる。
概要
東北大学金属材料研究所の日置友智氏(大学院博士課程・日本学術振興会特別研究員)、東北大学材料科学高等研究所・金属材料研究所の吉川貴史助教と東京大学大学院工学系研究科の齊藤英治教授(東北大学材料科学高等研究所・金属材料研究所兼任)、東北大学材料科学高等研究所のRafael Ramos(ラファエル ラモス)助教と橋本祐介助教らは、Lu2BiFe4GaO12からなる薄膜を作製し、この試料において、室温かつ低磁場な環境においても音波(フォノン)がスピン流を増幅することを明らかにしました。
本成果は2019年11月14日に「Nature Communications」オンライン版で公開されました。
詳細
- プレスリリース本文 [PDF: 788KB]
- Nature Communications [DOI:10.1038/s41467-019-13121-5]
図1.YIGとBiGa:LuIGの結晶格子の概略図。
YIGで中央の上向きスピンを持つ鉄原子が、BiGa:LuIGでは非磁性であるガリウム原子に置換されるため、上向きスピンと下向きスピンが互いに打ち消しあい磁気補償に近い状態となる。