プレスリリース・研究成果

トポロジカル物質で超伝導ダイオードを実現 -トポロジカル超伝導体の電子状態解明に向けて-

2019/06/24

概要

 東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授らの共同研究グループ、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター強相関物性研究グループの安田憲司客員研究員(マサチューセッツ工科大学博士研究員)、十倉好紀グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、強相関界面研究グループの川﨑雅司グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)は、トポロジカル絶縁体の超伝導界面において、超伝導電流の整流効果を観測しました。
 本研究成果は、トポロジカル超伝導体の電子状態の解明に貢献するほか、超伝導電流を効果的に制御する整流素子として活用できると期待できます。
 トポロジカル絶縁体と超伝導体を接合したトポロジカル超伝導体を用いることで、擾乱(じょうらん)に対して堅牢なトポロジカル量子計算が可能になることが理論的に提案されており、現在盛んに研究が進められています。
 今回、共同研究グループは、その電子状態を調べるため、トポロジカル絶縁体表面状態と超伝導が共存しているFeTe(Fe:鉄、Te:テルル)とBi2Te3(Bi:ビスマス、Te:テルル)の積層界面に着目しました。超伝導界面と平行(面内)に磁場を加えて抵抗を測定したところ、部分的に超伝導の発現した状態でのみ、電流の方向に依存して抵抗が変化する整流効果(ダイオード効果)が現れることが分かりました。詳細な測定と理論計算から、スピン運動量ロッキングした表面状態の電子が特殊な超伝導状態を実現していることが明らかになりました。本研究は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』(6月21日付け:日本時間6月21日)に掲載されました。

 詳細1: プレスリリース本文 [PDF: 648KB]

 詳細2: Nature Communications ウェブサイト [DOI:10.1038/s41467-019-10658-3]

図 界面における超伝導と磁場下での超伝導電流の整流効果のイメージ