発表のポイント
- 高エネルギー密度リチウム負極を用いる全固体電池に適用可能なリチウム超イオン伝導材料を開発。
- 全固体電池の性能として世界最高のエネルギー密度を達成。
- 水素クラスターのデザインにより、リチウムイオン伝導率をさらに高めることも可能。
国立大学法人東北大学金属材料研究所の金相侖(キム サンユン)助教と同大学材料科学高等研究所の折茂慎一副所長らの研究グループは、水素とホウ素から形成された水素クラスター(錯イオン)を含む材料のリチウムイオン伝導の研究を進めてきました。今回、その水素クラスターの分子構造のデザインにより、 リチウムイオンが高速で伝導する新たなリチウム超イオン伝導材料を開発しました。また、この材料は高エネルギー密度化が実現できるリチウム負極に対して高い安定性を示すことも見出しました。開発したリチウム超イオン伝導材料を、リチウム負極を使用した全固体電池の固体電解質として用いることで、 電池の使用時間が大幅に向上することも実証しました。
これらは、同大学多元物質科学研究所のArunkumar Dorai助教、桑田直明准教授、 河村純一教授、および高エネルギー加速器研究機構の大友季哉教授との共同研究による成果です。
全固体電池のキーマテリアルとなる新たな固体電解質の開発指針の獲得につながる本研究成果は、2019年3月6日付で英国科学誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
詳細1: プレスリリース本文 [PDF:789KB]
詳細2: Nature Communications ウェブサイト [10.1038/s41467-019-09061-9]