プレスリリース・研究成果

超高圧実験で明らかにしたウラン系エキゾチック超伝導と異常金属状態 30年間の謎であった超伝導の対称性を解明

2019/02/14

東北大学金属材料研究所の清水悠晴助教、青木大教授は、CEA-Grenoble(フランス原子力庁)の研究員ダニエル・ブレイスウェイト(Daniel Braithwaite)氏、ジャンパスカル・ブリゾン(Jean-Pascal Brison)氏らとともに、以下のことを明らかにしました。本成果は2019年3月22日付の科学新聞に掲載されました。

発表のポイント

  • ウラン系重い電子系化合物UBe13の風変わりな超伝導(エキゾチック超伝導体)の磁場中・超高圧特性を世界で初めて明らかにした。
  • UBe13は常伝導相の異常金属状態から突如として超伝導に転移する極めて異常な物質で、その特性の詳細は30年もの間、未解明であった。
  • 今回の発見は、固体物理学の超伝導基礎研究において重要な成果である。

 

本研究成果は、2019年2月12日で「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。

 詳細1: プレスリリース本文 [PDF:366KB]

 詳細2: Physical Review Letters ウェブサイト [10.1103/PhysRevLett.122.067001]

 

重い電子系超伝導体UBe13の上部臨界磁場及び電気抵抗のべきに見られる異常金属状態。

図. (左上)重い電子系超伝導体UBe13の上部臨界磁場及び電気抵抗のべきに見られる異常金属状態。(左下)UBe13の結晶構造と、交流帯磁率及び電気抵抗のダイヤモンドアンビルセルを用いたセットアップ。(右)常圧から超高圧下約6 GPaまでの上部臨界磁場の圧力依存性。常圧では等方的なスピン三重項フルギャップA1u状態が実現し、6GPaに近づくにつれ、対称性の低いEuスピン三重項状態の量子的な重なりのウエイトが大きくなる。