RESEARCH ACTIVITY

耐火用ハイエントロピー合金のナノ構造の解明に成功  ― ナノレベルの不均一性利用による新しい高強度合金設計に貢献 ―

発表のポイント

  • その新規性が注目されているハイエントロピー合金において、含有元素のナノレベルでの不均一な分布が優れた強度および延性を発現する起源であることを解明
  • 加工の困難さや低い耐衝撃性が課題だったチタン基ハイエントロピー合金において、鋳造後の自然冷却中におこる元素の自発的混合を利用して優れた機械的特性を持つ新合金を実現
  • 新たな高強度―高耐熱材料への応用展開が期待される

概要

 ハイエントロピー合金は、画期的な特性実現の可能性を秘めた構造用金属材料として世界的に注目されています。東北大学金属材料研究所 金属組織制御学研究部門の張咏杰助教、古原忠教授は、米国マサチューセッツ工科大学、韓国ソウル国立大学との国際共同研究において、チタン基耐火ハイエントロピー合金のナノ構造を解明し、凝固時の相分離で自然に形成される固溶体の組成を持つ合金が新規β’相のナノ析出で優れた強度―延性バランスを達成することを見出しました。本研究の成果は、ハイエントロピー合金の設計指針に元素の不均一分布の制御という新しい側面があることを明確に示すもので、この考え方に基づいた合金設計によって新たな高強度―高耐熱材料への展開が期待されます。
 本研究成果は、Nature Materials に 2020 年 8月 24 日(英国時間 16:00,米国東部時間 11:00 )にオンライン掲載(URL: https://www.nature.com/articles/ s41563-020-0750-4)されました。

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