金属材料研究所、すなわち “金研(KINKEN)” は、東北大学に現在6つある研究所の中で最初に設立され、全国の国立大学附置研究所の中でも最も古い歴史を有する研究所のひとつです。1916年に本多光太郎博士によって臨時理化学研究所第2部としてスタートした当初は鉄鋼を対象とした研究が中心でしたが、その後金属・合金全般へと研究領域を広げ、今ではセラミックス・有機物質も含む物質・材料全般をカバーする基礎および応用研究の世界的研究拠点として活動しています。金研の特徴は、研究における基礎と応用、理学と工学の融合にあります。また、広い視野から物質を探求しつつ、材料の実用化などの実学に帰する姿勢は、創立当初から脈々と引き継がれる “金研精神” と言うことができます。
金研では、高エネルギー照射材料評価、強磁場、スパコン、中性子散乱など世界有数の大型施設を始めとした最先端の物質・材料研究を行うことができる環境を有し、探る―物質・材料の性質を支配する基礎現象の探求、創る―多様な手法を用いた材料の創製、測る―様々な視点からの材料特性の観測、という3つの研究手法が有機的に連携した研究を行うことができます。このような研究環境は、日本のみならず世界的にも非常に稀有であることから、国内外の研究者・学生が金研に集まり国際的に共同・協力した研究が活発に行われています。
金研で学ぶ皆さんには、ぜひこの充実した環境と世界に開かれたチャンネルを活かして最先端の物質・材料研究に挑戦し世界に羽ばたいてもらいたいと思います。先達が築いた“金研精神” に基づいた研究姿勢を学び広い視野を持って成長することは、研究者としてはもちろん、企業や社会でも大きく役立つと思います。
金研は、真に社会に役立つ新たな材料を創出すること、そして文明の発展と人類の幸福に貢献することを目標とし、新たな物質・材料のジャンルを切り拓き、高性能・高品質で多機能な材料を開発して、今日の科学技術の向上に貢献しています。私たちは、パラダイムシフトをもたらす革新的な材料科学研究に、皆さんと一緒に取り組んでいけることを楽しみにしています。
東北大学金属材料研究所
第23代所長
佐々木 孝彦