所長挨拶

所長 ご挨拶
金属材料研究所所長
佐々木 孝彦

東北大学金属材料研究所、通称 “金研(KINKEN)”は、本多光太郎博士によって東北帝国大学内に臨時理化学研究所第2部として1916年に発足して以来、100年を超える歴史を誇る研究所です。本研究所は、「金属をはじめ、半導体、セラミックス、化合物、有機材料、複合材料などの広範な物質・材料に関する基礎と応用の両面の研究により、真に社会に役立つ新たな材料を創出することによって、文明の発展と人類の幸福に貢献する」ことを理念とし、その実現のために500名近い教職員・研究員・大学院生によって「材料科学に関する学理の探求と応用研究」を行っています。

金研がカバーする研究分野は、設立当初は鉄鋼材料が中心でしたが、時代の変化と研究の発展に対応して半導体やセラミックスなどの非金属も含めた物質・材料の基礎と応用全般に広がり、1987年に英語名“Research Institute for Iron, Steel and Other Metals(RIISOM)”を現在の“Institute for Materials Research(IMR)”へと改称しました。初代所長の本多光太郎博士の発明によるKS磁石鋼をはじめとして、センダスト合金、炭化ケイ素繊維、軟磁性アモルファス合金など、多くの実用材料を社会に送り出すとともに、基礎研究も推進し、新物質探索や磁性、超伝導などの物性解明においても先駆的研究を行い、物質・材料科学研究の世界的中核拠点へと発展してきました。

金研の特徴は、基礎と応用、理学と工学の融合にあります。また、照射材料試験、定常強磁場、スパコンなどの世界有数の大型実験施設の運用や、新素材の総合的な創製・評価環境の提供により、国内外の研究者と金研の研究者が共同して研究活動を行っていることも特徴です。2018年には材料科学国際共同利用・共同研究拠点 ─GIMRT─ に認定され、世界における物質・材料科学研究のハブ拠点として一層の研究推進と次世代の人材育成に尽力しています。また本多博士の言葉「産業は学問の道場なり」を実践すべく、産学連携、技術者育成などの活動にも注力しています。

私たちは、国際社会がともに目指す「持続可能社会の実現」に向けた取り組みを進めています。金研が担う物質・材料科学研究には、これらの課題解決にとどまらない未来の社会をより魅力あるものに変える力があります。金研は、日本の基幹産業であるものづくりの国際競争力を支えるとともに、人類共通の学術財産を形成する貢献に対しても、グローバルな取り組みを行って参ります。次の100年を見据えたパラダイムシフトをもたらす革新的な材料科学研究に取り組み、未来を担う人材の育成に貢献して参ります。

今後とも、皆様のご支援・ご協力を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

金研とは