材料設計研究部

原子力材料工学研究部門

教授(兼) 青木 大
准教授 佐藤 裕樹
助教 松川 義孝

極限環境で使用される原子力エネルギーシステム材料の研究

地球規模で増え続けるエネルギー需要と原子力エネルギーシステムの安全性を求める社会的要請をうけて、原子力材料研究の重要性は高まっています。私たちは将来のエネルギー源として開発が進められている核融合炉や次世代原子炉の苛酷な環境に耐える材料の研究を行っています。原子力材料は、高エネルギー中性子の衝突による原子のはじき出しに加えて、高温、腐食などの極限環境下で使用されるために、その機械的性質が著しく劣化することが問題となっています。私たちは鉄鋼材料やジルコニウム合金について、高エネルギー粒子照射下における材料の微細組織と機械強度の変化を評価するとともに、照射欠陥生成から機械的性質の劣化に至る複雑な過程を理解しモデル化する研究を行っています。

照射損傷、原子力材料、核融合炉
粒子分散強化における障害物強度に及ぼす結晶学的ミスマッチの影響(Zr 合金燃料被覆管中のNb 析出物)

粒子分散強化における障害物強度に及ぼす結晶学的ミスマッチの影響(Zr 合金燃料被覆管中のNb 析出物)。析出物の結晶構造がbcc の場合は、マトリックスのすべり面と析出物内部のすべり面が平行でないため、析出物は転位の運動に対してオロワン型の強い障害物になる。析出物がナノサイズのとき(核形成の初期段階)、結晶構造はマトリックスと同じhcp 構造で
ある。その場合はすべり面が平行であるため、析出物は弱い障害物になる。実験で導出した障害物強度は、前者が0.8 ~ 1、後者が0.1 ~ 0.5 であった。

Zr-Nb 合金燃料被覆管腐食材の表面酸化被膜のTEM-EDS マップ

Zr-Nb 合金燃料被覆管腐食材の表面酸化被膜のTEM-EDS マップ。本合金に含まれるNb 析出物は、腐食に伴い、マトリックスに再固溶す るとこれまで考えられてきたが、実際は再固溶せずに、析出物のまま酸化されることを明らかにした。Nb 析出物はSTEM-DF 像やNb マップ では見えないが、Mo マップでは見える。但し実際は、試料にMo は含まれていない。これは析出物の構造及び組成変化とEDS のアーティファクトの相乗効果に起因する現象である。

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